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意志を描き出す(ベームのブラームス)

9 SEP 2020

 

・・・しかし何故こうも、人は音楽などを創り、そして「形」として遺すのだろう。ブラームスの交響曲第1番、この晦渋な曲を、結局は奏でられるのは限られた人なのかもしれない。カール・ベーム。なにか、私には、「意志」の交響曲のように聞こえるのだ。

 何の意志なのか?少し後の世代のニーチェのいうような「力への意志」なのか?私には、意志というものの無力さ、ないしは堅苦しさばかり目立って見えるが・・・。しかしそれが、また一つの調和への希求だとしたら?

 意志は、何ものもうみ出しはしない。ましてや、「効果」を求めれば、意志は変質する。ただ、もしも意志を精確に描き出すことができるならば、その描線は何かを示すことはできるだろう。そして、すぐれた人が奏でるブラームスの交響曲は、その描線を描くプロセスということになるだろう。

 

 「力への意志」ではなく、「意志へと凝集していく力」こそが真に重要だと思える。